45,000文字の感想から見えてきたこと|早稲田LDP

45,000文字の感想から見えてきたこと|早稲田LDP

幸いにしてCovid-19第5波が収まってきて、春夏に続いて今学期も対面で早稲田リーダーシップ開発(LDP)の授業をスタートすることができました。zoomも便利ですが、やはり対面で授業ができると学生が嬉しそうです。
 
春夏学期は、関係者のみなさまのご協力により、とても良い授業になったと考えています。最終回でのリアクションペーパー(感想)を4クラス分集めると45,000字以上という量になり、その内容を見ていると次のような点で受講生が授業を評価していたことがわかりました。

1.自分が成長・変化した(受動→能動、話を聞ける人に、自分の魅力を発見、人を頼れるように等々)
2.リーダーシップを理解した(全員発揮のリーダーシップ、自分らしい…)
3.学部・学年を超えた仲間が出来た
これらの結果、「とても充実した時間を過ごした」という声がとても多く見られました(5、6限なのに水曜日が楽しみだった等)。

早稲田生がスゴいなと思うのは、これらをつくるために運営側が行っている工夫についても理解して感想で、触れてくれることです。例えば、
 ・学部・学年をまたぐ受講生が交流する仕掛けが組まれていた
 ・安心安全な場作りが仕組みと運営によって行われていた
 ・動機付けや理解深化につながるように学習のステップが組まれていた
などに言及がありました。これらは彼らがこれからいろいろな場でリーダーシップを発揮していく中で活用できるであろうという意味でも、ここまで彼らが理解してくれているのはとてもうれしいことです。
 
そして秋冬学期、上記のことを引き続き行い、さらに高めて行くのはもちろんですが、さらに3つのことに注力していきたいと考えています。

・自分の「マイノリティ」から自分のリーダーシップを育てる
・「その本質って何なのか」を捉える力を高める
・「衝突力」を伴う「心理的に安全な場」作り力を高める

自分の「マイノリティ」から自分のリーダーシップを育てる

これは、澤田智洋さんの「マイノリティデザイン」の考え方を取り入れたものです。あえて自分の弱みや少数派な部分に着目することで、自分ならではの取り組みテーマが見えて来るというもの。例えば澤田さんはご自身の「運動音痴」に着目して「ゆるスポーツ」を立ち上げ、障害者を含め運動が苦手な人でも、得意な人と一緒にスポーツを心から楽しめる世界作りに取り組まれています。この考え方は、リーダーシップと親和性が高く学生のキャリアビジョン開発にもつながるのではないかと考えて前期から導入しました。そして確かな手応えを感じる一方で、課題も感じられたので、今期はさらに追求して行きたいと考えています。


「その本質って何なのか」を捉える力を高める

リーダーシップ開発においてよく用いられるPBL。プロジェクトの結果として学生たちが出して来る提案には感心することもよくありますが、同時に「もったいないな」と思うこともよくあります。問題を捉える段階で本質を捉えられていないために、提案が上滑りしてしまっているというケースです。しかし実はこれは学生に限らないことなので、問題の本質に迫る力を彼らが高められたら意味は大きいと、今期はここに力を入れることを考えています。 

「衝突力」を伴う「心理的に安全な場」作り力を高める

心理的に安全な場を作ることの重要性は今、注目されていますが、日本においては「心理的に安全な場」が「衝突のない場」と誤解されていることも多く、学生にはとりわけこれを強く感じます。その結果、意思決定で衝突を避けるあまりにふわっとしたものしか出て来なくなったり、ディスカッションがムダに非効率的なものになっていたりします。これを、必要な衝突や効率化は行いつつ心理的安全性を確保できるようにして行きたいと考えています。

いずれも、大人であってもなかなか出来ていないことですが、これらを高めていくやり方が見えて来るだけでも価値が大きいと思っています。また楽しみな挑戦の学期になりそうです。

(文責:早稲田大学 グローバルエデュケーションセンター(GEC) リーダーシップ開発プログラム 副統括責任者 高橋俊之)