論理思考は心から人に動いてもらうためにとても役に立つ

最近、考えて来たことがつながる(connecting the dots)ことがよくあります。そういう時期なんでしょうか。自分的には「おー!!」と思うのですが、人に説明して伝わるのかどうか、でも伝えたい気持ちもあるので、少しずつトライしてみたいと思います。

今日は「やっぱり論理思考は心から人に動いてもらうためにとても役に立つんだ!」という内容です。

僕が関わってきたカリキュラムでは、リーダーシップ開発に論理思考を入れていて、その先頭に置いているのが、「目的を押さえる」ことです。

なぜこれを先頭に置いているかというと「世の中には、本来の目的からズレてしまっていることが、あまりに多いから〜」(チコちゃん風に笑)です。

しかも目的からズレていたら、その後は意味をなさないか、害になりかねないですよね。

でも、ちょっと注意して見ると、目的からズレていることは山ほど見つかります。かつては意識されていたが時間が経つうちに忘れられたとか、上の方で設定した目的なんて果たせるわけないので下の方では無視しているとかは珍しくないですが、そういうのではなく、「目的に合わせるべき」と思っているのに、ズレてしまっているのがたくさんあります。

例えば、先週の「リーダーシップ開発:授業外への適用」で受講生達に考えてもらった時には、「自分たちがその時に楽しい方にズレてしまう」というのが上がっていました。サークルの新歓は本来、新入生に「ここ、いいなー」と思ってもらうのが目的なのに、気がつくと自分たち上級生が楽しくなる方向に企画がズレているとか。

他の例で言うと、授業をやっている上で運営側としても陥りかねないのは、受講生のためになることよりも受講生ウケの良いことに向かってしまうというパターン。

こういうものをいろいろ見ていくと、(本来の)目的からずれてしまう場合の多くに、人の「欲求」が絡んでいることが分かります。「楽しい方へ」「短期的に喜ばれる/評価される方へ」「楽な方へ」「怒られない方へ」等々。

では、そういう状況で本来の目的からズレないようにするには、どうすれば良いのか?

「本来の目的を常に見えるように明示しておく」「特に意思決定の時に、目的に照らして決定する」

というのも有効ですし、ロジカルシンカーっぽくて良さげです。ただ最近、もっと論理思考もリーダーシップも活かしたやり方があるのでは、と思っています。

それは、「欲求も目的も両方果たせるように工夫したら?」ということです。「欲求を力づくで抑えて目的の方に向かう」のではなく。A or Bではなく、A and Bにしてしまおうと。

例えば、「新入生が楽しめることは大事だけど自分たちも楽しめるようにしよう」とか「受講生のためになることは不可欠だけど、何らかの形で『うちの先生いい!』」と思ってもらえることも組み込むとか。

その方が方策を考えるのは難度が上がります(=論理思考力を必要とする)が、いったん考えられたらその行動を取る/取ってもらうのは易しくなります。

というわけで、長くなりましたが、やっぱり論理思考は「心から人に動いてもらうために使える」と思っているわけです。

(早稲田大学グローバルエデュケーションセンター 高橋俊之)