数日前のVoicy(プレミアム放送)で、安斎勇樹さんが「年末年始のリフレクションを7つの問いで深める」という話をしていました。それ、なかなかおもしろいな、と思ってやり始めています。
その1つ目が「この1年、どんなコンテンツを摂取してきた?」。これを見ていたらいくつかおもしろいことが見えて来ました。
履歴は便利だな
まず「どんなコンテンツを摂取してきたか」を振り返る上で便利なのが、その履歴を簡単に見られることですね。
読書歴はAmazonやValuebooksの購入履歴や図書館の借り出し履歴から見られます。今年は1時間前後の長めの動画をYouTubeで観ることが多かったのですがこの履歴も、Netflixの視聴歴も簡単に見られます。
膨大で大変ではあるけど、生成AIとのやりとりも振り返れます。年の前半とかもうすっかり忘れているので、かみしめるのにこれはいいですね。積ん読の中から読みたい本を発掘するのにも。
教わるのはイヤだ!
で、今年のコンテンツ摂取を振り返っていて改めて感じたのが、自分は本当に「教わるのはイヤ」なんだな、ということでした。笑 自分でつかみたい欲求が強い。
ただし、スポーツのように明らかに自分が不得意なものや、知らないことを教わるのは全く抵抗がありません。水泳は生成AIに教えてもらって大進歩しました。歌も教わっていて楽しいです。IT環境については信頼できる人にアドバイスを求めまくりです。町内会の関係で災害対応の1日講習に出た時も興味深く学びました。
でも、自分が探究したい領域になると、ノウハウ本と動画に触れたい気がしません。例えば今年(去年もだけど)は「おもしろ化」が一番の探究テーマだったんですが、これについて論じている本とか全く読んでいませんでした。そういうセミナーを探そうとかもしない。
教わるより、良いものから探りたい
「教わるのはイヤだ」と書きましたが、さすがに独力で探っているだけではないです。笑 いわゆる「コンテンツ」的なもので言うと、直接のノウハウ本とか講座には行かないけど、「事例」は好きです。
例えば先の「おもしろ化」で言えば、「普通はおもしろくないものをおもしろくしている」コンテンツはよく摂取していて、純粋に楽しんでいるのと同時に「どうやっておもしろくしているのか」をほぼ無意識に探っています。
今年のベスト事例:マンガ『エスプレッソコーラ』
この点で今年一番良かったのは『エスプレッソコーラ』というマンガでした。発達障害の子達が通う療育の現場を舞台としたマンガなんですが、そういう世界に全く縁がない人が読んでもおもしろく読めると思います。
第1巻「ダウン症編」 エスプレッソ・コーラamzn.asia
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ユーモアのセンスを持った主人公たちが、人の可能性を信じる中で話が展開するので、大変な状況でも常に希望を感じられます。あと、けっこう実益も大きいと思います。職場や家庭その他の場で「訳わからない!」「どうしたらいいの?」と思うような人や状況に直面した時に応用できそう。
でもそういうノウハウがあからさまに語られるのではなく、ドラマを観ているように話が展開していく中に自然に見える。しかもリアリティを犠牲にしていないし、間違ったことも言っていない。ちなみにKindleで90話を0円で読めます。第3巻「ADHD編」が最初の山で、涙腺崩壊しそうになります。
YouTubeに見る「おもしろ化」の工夫
話が少し逸れましたが(コンテンツ紹介がテーマじゃなかった!)、僕は、この本の「おもしろ化」があまりに上手なので、そのコツを探るためにも読んでいました。そして「普通はおもしろくないものをおもしろくしている」といえば、やはりYouTube。去年あたりから本格的に見始めましたが、今年もそこそこ見ました。
去年も見ていた「ゆる言語学ラジオ」と「積読チャンネル」は今年も視聴し続けました。
「ゆる言語学ラジオ」は、我々誰もが日常的に使っている言語の不思議を、アカデミックな視点から解きほぐしてくれます。例えば敬語の「乱れ」(と思いがちなもの)を言語学的にひもといてみると乱れとは言えないかも?という「『っす』は失礼じゃない。むしろ神。」。その説明がコントをやりながらおこなわれている感じなんですが、内容と関係ないコントではなく、学びのエッセンスを伝えるようなものになっているのが気に入っているとともに、「おもしろ化」の面の学びが大きいと思っています。
読書への入り口としての「積読チャンネル」
「積読チャンネル」は、ゆる言語学ラジオの堀本さんが相方を務めてVALUE BOOKSというネット書店の人が本を紹介しているチャンネル。僕は「良い事例」の載っている本や「自分にはなかった視点」を教えてもらうために見ています。
このチャンネルは読書が苦手な人にもオススメだと思います。読書が苦手な人って「本に入り込む」までに難しさを感じているのではと思うんですが、その部分を手伝ってくれます。でも40分も本の魅力を語っていながら、読む楽しみは損なわない。それは本の中身よりも、パーソナリティの飯田さんが読んで考えたことをしゃべっているからだと思います。あと、そこがけっこう深かったり「これは実は○○と同じだと思う」と抽象化して行くので、本を読まなかったとしても得るものがけっこうあります。
積読チャンネル書店員があなたの積読を増やしていくチャンネルです。次に読む本を探している方に、おすすめの1冊をお届けします!紹介した本はバwww.youtube.com
ただ、「ゆる言語学ラジオ」も「積読チャンネル」も、ゆるめのコンテンツなので、人によってはもっとぎっしり詰め込んで欲しいと思うかも。僕の場合は、料理とかしながらゆるく観ているのでちょうどいいですが。
そんなゆるい感じで観ているYouTubeとしては他に、「Mr Fuji from Japan」とか「だいじろー Daijiro」があります。
- MrFuji from Japan: 日本語の超達者な外国人たちとそれぞれの出身国や日本について話しているもの。あくまで個人の見解として観る必要はありますが、「どうしてそうするんだろう?」まで踏み込んで仮説を立てているところが好きです。
- だいじろー Daijiro: 英語と日本語を中心に特に「発音」についてオタク的に語っているチャンネルですが、ヒューマンビートボックスの達人とタイアップしたりと切り口もおもしろい。考えてみればヒューマンビートボックスの達人ですよね。こういう思考の飛ばし方は「おもしろ化」にも役立つので楽しく観ています。
学びながらエンタメ観てて楽しいの?
あと「おもしろ化」ではないけど、本にせよ動画にせよ、ストーリーを楽しみつつ学びを探ることはよくしています。ほぼ無意識のうちに。
「そんなんで中身を楽しめますか?」と言われますが、むしろ二重に楽しめます。そういう点で『映像研には手を出すな』はアニメ(Netflix)もマンガも作者の対談(YouTube)も楽しめました。キャラ立ちまくりなオタク的女子高校生3人が結成した映像研。そこで作り上げて行く作品やその制作プロセスが、「プロジェクトってこうありたい!」と思えるのです。
それぞれ違う「やりたい!」をフルスロットルで開けていて、それが思考の囚われを乗り越えて行く。当然、障害にもぶつかるけれども、大人も含めて周りも巻き込まれたり巻き込まれなかったり、自分を正しいと思っている権威に「それは違うと思うぞ」と高校生が堂々と主張する。もし学生たちとPBLをまたやるとしたら、こういうのをやりたい。
TVアニメ『映像研には手を出すな!』公式サイト『月刊!スピリッツ』にて連載中の漫画『映像研には手を出すな!』、待望のアニメ化!!!eizouken-anime.com
逆境ものが好きなようです
他にそんな感じで摂取して特に満足度高かったのが下記でした。
- 『ルポ 秀和幡ヶ谷レジデンス』:渋谷の北朝鮮と呼ばれたマンションの自治を取り戻すべく立ち上がった住民たちの闘争1200日の記録。みんな困っていて、みんなおかしいと思っている。でも自分は1 of manyに過ぎない中で立ち上がれるか、続けられるか、というと全く自信はありませんが、いつの間にか「やるしかない」状況になってしまうことはあるかもしれません。その参考には非常になりそうです。
- 『崖っぷちの老舗バレエ団に密着取材したらヤバかった』:破綻寸前の苦境から「チケット即完売」に至るまでのドキュメンタリーYouTubeのさらに裏側を書いた本。「もっと多くの人たちに知ってもらいたいのに、そのための挑戦をしても来ているのは内輪ばかり。外の人にはなかなか関心を持ってもらえない」というのはあるあるで、自分自身も経験があります。それを突破していくやり方は参考になりました。突破の際に直面するジレンマも含めて。
- 『しんがり』:1997年、記者会見で山一證券の社長が号泣する様子を見つつ「大企業も潰れるんだ」と思いましたが、その大混乱の中に経営破綻の原因を追及し、清算業務をおこなうという「しんがり」を務めた社員たちがいたことをこの本で初めて知りました。自分が同じようにできるかというと難しい気はしますが、彼らに強い魅力は感じます。
これらは先に触れた積読チャンネルで紹介していて知りました。読書が苦手な人はそちらを観てさらに読みたいと思ったら読んでみるのもありかもしれません。
あと本じゃなくてNetflixだけど『サバイバー:60日間の大統領』(アメリカ版ではなく韓国版)も、フィクションではありますが僕は好きでした。テロで国会議事堂が爆破されて急遽大統領代行になった主人公とそのチームが次々と危機に直面する中、どう対応していくか。「その世界の常識」を疑い、本質に立ち返り、道を探っていく。その道筋に「なるほど!」と思わせられました。
これらに見られる、逆境でも人を動かすものの見つけ方、本質の探り方、コミュニケーションの仕方は、本業の教育にも、町内会の仕事にも大いに役立ちますし、元気をもらえるので摂取していたんだろうな、と思います。それにしても逆境コンテンツが好きみたいです。笑
言語化力の高みを目指して
最後に、言語化力というか、言葉で情景や心情を描き人を引き込むことができるんだなと感じた本が下記でした。この力は高めたいなと思っていますが、本から学び獲るのは難しいかも。生成AIの助けを借りるのが良いかもしれません。本は「ここまでやれている人がいるんだ」というベンチマークかもしれません。自分はといえば、このnote記事を書くのにかなり時間を使ってしまって、今年の振り返りが七分の一しか進んでいないのですが。💦
- 『強いビジネスパーソンを目指して鬱になった僕の 弱さ考』:倒れてしまった後、すっかり馬力が落ちてしまった自分をどう受け入れるかを経験と探究から語っている本なのですが、こういうものにありがちな「根拠=オレ だけ」ではありません。でも一方で自分のつらかったり情けなかったりした状況を目に浮かぶように描写している。そこに著者の強さと魅力を感じました。また凸凹な自分を受けいれる背中押しをしてもらいました。
- 『毎日酒を飲みながらゲーム実況してたら膵臓が爆発して何度も死にかけた話』:この本は読む前に思っていた以上に「読んで良かった」本でした。これがゲーム実況の技術なんでしょうか、病気と医療のつらい体験をちゃんと伝えながらエンタメにできる、そして「体を、そして生きることを大事にしよう」と本気で思わされました。
- 『だから俺は猟師をやめたんだ 農家のくさひろシリーズ』:「熊」が今年の漢字に選ばれた2025年、用水路を流れる動画で有名になったくさひろさんの著作。現場を知っていて、それを解像度高く言語化できて、かつその世界の仕組みを捉えられる人はなかなかいないですが、彼は数少ないそういう人の一人だと思います。
結局、自分が気に入ったコンテンツの紹介になってしまいましたが、その中でも今年触れたコンテンツから自分が得たものや自分に起きた変化、自分の傾向を確認することができました。あなたはどんなコンテンツに触れて、何を発見しましたか?
モメンタム・デザイン代表 高橋俊之(たかはし としゆき)