前提とか概念とか世界観が変わる教育をしたい

今日はキャリア開発のワークショップの準備ミーティングでまた白熱していました。その中で上のようなことが出て来ていました。またこれ、キャリアの話だけでなく、あらゆることにあるように思います。

例えば「仕事とは苦痛に耐えて労働をすることで対価をもらうもの」と捉えている人がそのまま自身のキャリア開発をするのは非常に難しい。「仕事の世界は他人を蹴落としてのし上がっていくところ」という捉え方をしている場合も、本人が優しい人ならキャリア開発はなかなか難しいでしょう。

「仕事は会社や上司から与えられるもの」とか「既にある道から最適ルートを見つけ出したどること」といったものでも、満足いくキャリア開発につなげるのは実はかなり難しいように思います。ルートがかなり限られてしまうからです。

しかし、こういった考え方をしないとすると、常人を超えたものを持っていないと無理なんじゃ?と思ってしまう人が多そう。でも、本当はそうじゃないと思っています。レベルを上げるのではなく、前提とか概念とか世界観を変えるだけでだいぶ変わるのではと。

例えば「仕事とは、価値を提供すること」、と捉えれば、自分がやりたいことや得意なことでそれを果たし、苦痛に耐えなくてもやれるかもしれません。

もっともここで「やりたいことが見つからないんですよ」と言われるかもしれませんが、これも「やりたいこと=好きなこと」という概念を変える、というかもっと拡げて「気になること」とか「関わりたい」と思えることとかまで含めると、いろいろ出て来ると思います。僕自身、30代半ばまで「自分は、やりたいこととかない」と思っていましたが、概念を拡げてみると、たくさん持っていました。

また「既にある道から最適ルートを見つける」という考え方から抜けられると、道がいろいろ見えて来ます。というと「なので私、会社の外に目を向けることにして転職サイトに登録したんです」という人がいますが、それも「既にある道」ですよね。そして条件はどこも似たり寄ったりか、条件の良いところは人気沸騰でなかなか入れるわけではありません。

「既にある道から最適ルートを見つける」という前提を超えることは実際には社内に目を向けてもできます。例えばどこの部署の管轄でもないけど(だから?)みんなが困っていることを見つけて解決に向けて動き出すとか。あるいは休日にともだちのイベントを手伝うボランティアで試してみるとかもありかもしれません。そのままでは収入にならなくとも、経験とスキルは積むことができます(これらがないとキャリアのわらしべ長者ができません)。

という感じで、前提とか概念とか世界観を変えることができると、自分の能力やポジションが急に変わったわけでもないのにぐっと成長しやすくなる、と思っています。

そこで問題は、いかにして前提とか概念とか世界観を変えるか、ということですが、これは急に変えられることは少なくて、小さくても思考と行動(トライアル)のサイクルを回してことで徐々に変わる、というのが今日の結論でした。それをどう起こすかがまた教育の腕の見せ所です。

さて、今週末のワークショップでどんな前進が見られるでしょうか。

(文責:早稲田大学 グローバルエデュケーションセンター(GEC) リーダーシップ開発プログラム 副統括責任者 高橋俊之)