タイマネ – これからの日本に必要な仕事感覚?

  早いもので春クォーターの「リーダーシップ開発:理論とスキル」が終わりました。最終回の授業でこれまでとちょっと違ったことがいくつかあったのですが、その一つがタイマネ(タイムマネジメント – 限られた時間でいかに成果をしっかり出すか)を受講生が意識していたことでした。

「リーダーシップの授業でそういうことも学ぶのか」と思われるかもしれませんが、二つの理由からこれは大事じゃないかなと最近考えています。

社会人になっても生きてくるタイマネ意識

一つは、タイマネ意識が、次の夏クォーターにある「リーダーシップ開発:問題解決プロジェクト」での成果の質を大きく左右することです。実質1ヶ月ちょっとの間にビジネスプランを作り上げる必要がありますが、その間に学生がここに費やせる時間も限られています。「リーダーシップで成果が上がるんだ!」と多くの人に実感してもらうためには、タイムマネジメント力が不可欠です。

もう一つは、社会に出た時のためです。あらゆるところで「人がいない、やることはどんどん増える、忙しい」と言っていますが、現状維持レベルの仕事を根性でこなすだけでなく目に見える成果を上げるためには、生産性を上げるレベルのタイマネが必要です(単にこれまで通りの時間内に終わらせる話じゃない)。リーダーシップを発揮して新しいことを提案しても「時間がないから無理」と言われてしまわないためには「こうすれば時間を作り出せます」と言えるタイマネ力が必要です。

そしてそれは社会人のプライベート時間を充実させることにもつながります。残業が多くて仕事外は疲れ切っているとか、家事育児はお母さんの非常に苦しいワンオペになっているとかならないために、仕事時間のタイマネ力が大事ですよね。

タイマネ上手なチームと下手なチームの差

ちなみに、一つ目に上げた、次のクォーターにある「リーダーシップ開発:問題解決プロジェクト」では、タイマネの巧拙で次のような差が出てきます。

最初の段階で、上手なチームは「ここまで90分でたどりつこう」と決めてそれに向けて動き、次回までにやってくることも明確にしてから解散できます。一方、下手なチームは「話すの楽しー」と制限時間を考えずに話して盛り上がり、時間切れになってしまって次回までの準備も特に決めずに「続きはまた今度」となって出遅れます。それでも最初はどちらも元気に楽しくやっています。

上手なチームはその後も方針がきちんと時間内に決まり「部活頑張ってねー」とか言い合いながら解散していきますが、下手なチームはやはり時間内に決めきれず延びてしまい、一人また一人と「ごめん部活行かなきゃ」と去って行って残った人たちの空気もちょっと微妙になって来ます。

その後の中間発表もタイマネが上手なチームは着々と準備ができて、フィードバックも咀嚼できて、「企画を考えるって楽しいなー」と乗ってきます。一方タイマネが下手なチームは「とにかく形にしないと」とバタバタ。でも中身が伴わない中間発表の後、立て直そうにも心身共に疲れてきて「なんか頭が回らないなあ」という状態になって来ます。

そのうちあっという間に最終発表の日が近づいて来て、タイマネ上手チームはリハまでしっかり終え「できた! ごはん食べに行こー」と英気を養って結束も固めてから本番に臨みます。タイマネ下手チームは「あーあと一週間あれば!」と思いつつなんとかがんばってスライドを仕上げますが、もうごはんに行く元気も時間もないので「お疲れー」と解散です。

発表を終えてタイマネ上手チームは成功体験を得て「こうすればいいんだな」と学習するとともに「もっと人とコラボしたいな」と味を占めます。一方タイマネ下手チームは「やっぱりタイマネ大事だな」と、この時に実感し、いろいろ勉強になった、とは思いますが、ちょっとしばらくはプロジェクト活動はいいかな、と、経験を次に活かすタイミングも延びがちです。

じゃあ、タイマネって実際は何をするんだよ、という話は、長くなったので次回にでも。スケジュールを決めてその通りに先を急ぐだけじゃ無理ですよね。

(文責:早稲田大学 グローバルエデュケーションセンター(GEC) リーダーシップ開発プログラム 副統括責任者 高橋俊之)