一昨日の授業(リーダーシップ開発:授業外への適用)では「リーダーシップについての疑問を解消しよう」という時間を取ってみました。この中で出てきたちょっと興味深いやり取りをご紹介。

発端は「リーダーシップ行動最小三要素には率先垂範が入っているけど、これって状況によってかなり内容が違うのかも?」という疑問でした。率先して動いていると「あ、あの人が得意みたいなので任せておけばいいか」とむしろ周りが動かなくなってしまうことがある、と。

確かにそういうことって時々見ますし、動くにしても「優秀な」リーダーの元では意外と、メンバーが指示待ちだったりします。

そこでまず出たのが「できちゃうからいけないんじゃない? 率先するけどうまく行かない方がむしろみんなが助けに動くのでは?」という発言。

「そうか、できちゃって終わっちゃったら率先だけで『垂範』になっていないから、垂範になるようにする必要があって、できないことに挑戦するのがその一つか」と。

この時、別の疑問を出してそれを別のホワイトボードに書き出していた人が「そうそう」と言い出しました。その人は「リーダーシップが必要な時とは?」という疑問を出していて、「別に普通にやれちゃうことにはリーダーシップはいらないのでは? だから普通にやってちゃできないけどでもやりたい!ってことを見つける必要があるのでは?」と繋げました。(目標設定・共有)

「でも、いくら誰かが動くべき状況でも『自分にやれることはない』と感じちゃうとやっぱり動けない人もいるよね」と言う人。

「そこで『これやってくれない?』と提案するのはありなんじゃない? 指示しているようにも見えるけど、相手が『自信ないけど頼まれたからやってみよう!』と自ら動き出すきっかけを作っているとも言えるよね」と。

この一連のやり取り(これだけじゃなかったのですが)から、「リーダーシップ最小行動三要素で率先垂範って教わってなんとなくそのまま受け入れってたけど、ちゃんと吟味してみると『垂範になるように考える必要がある』といった意味もあるんだなと思った、なんて発言も出ました。

こういうやり取りを見ているのも楽しいです。

(文責:早稲田大学 グローバルエデュケーションセンター(GEC) リーダーシップ開発プログラム 副統括責任者 高橋俊之)